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〖勉強ノート〗日本語の歌は1小節に何音入る? 英語と比べたら「約1.9倍」の差があった

9 時間前
読了時間: 5分

こんにちは、Sound Inspireです。

AIと一緒に曲を作っていると、毎回ぶつかる問いがあります。

「この1小節に、歌詞は何音まで入れていいのか?」

詰めすぎると早口で聞き取れない。少なすぎると間延びする。

そこで今回は、研究論文と計測データを調べて、日本の楽曲と英語の楽曲を比べてみました。

先に結論です。

  • 標準的なJ-POPは、1小節に6〜10モーラ(モーラ=「か」「ん」「っ」など、かな1文字ぶんの音の長さ)

  • 英語のポップスは、1小節に4〜7音節

  • 同じ内容を伝えるのに、日本語は英語の約1.9倍の音が要る(話し言葉のデータから)

ただし、注意がひとつあります。「日本の曲全体の平均」を、1小節あたりのモーラ数で直接測った研究は見つかりませんでした。今回の数字は、論文の実測値と、拍の仕組みからの推定を組み合わせたものです。

日本語の歌は「1音符に1モーラ」

日本語の歌は、基本的に1つの音符に1モーラをのせます。

なので、1小節のモーラ数は「どの長さの音符で刻むか」でほぼ決まります。

  • 8分音符で刻む → 1小節に最大8

  • 16分音符で刻む → 1小節に最大16

曲のタイプ別にすると、こうなります[経験則]。

曲のタイプ

刻み

1小節のモーラ数

わらべ歌・唱歌

4分〜8分音符

4〜8

バラード・サビ

伸ばしが多い

4〜8

標準的なJ-POPのVerse(BPM120〜140)

8分中心+16分

6〜10

ボカロ・早口の曲

16分音符

10〜16

英語のポップス

音節単位

4〜7

英語のラップ

音節単位

6〜14(制作者向けの目安)

60年代から90年代で、歌詞は「詰め込み型」になった

ヒット曲200曲を年代別に分析した研究があります(Azechi 2007)。

各年代50曲ずつ、合計3,760フレーズを、歌詞の区切りごとに調べたものです。


60年代

70年代

80年代

90年代

7文字(七五調)の行

37.8%

24.6%

16.3%

8.4%

9〜12文字の長い行

11.6%

18.0%

22.6%

38.0%

わらべ歌の型に当てはまらない新しいリズム

17%

42%

44%

60%

※3行目は「3モーラで始まるフレーズ」の中での割合です。

分かったことは3つです。

① 刻みの基準が、60年代の4分音符から、70年代に8分音符へ移った② 七五調が減り、話し言葉に近い長い行が増えた③ 90年代には「ん」「っ」を強い拍に置く、英語のようなリズムが増えた(例:スピッツ「涙がキラリ☆」)

日本語の歌は、少しずつ英語の歌い方に近づいてきたと言えます。

※データは1996年まで。2000年以降は調べられていません。

なぜ英語は少ない音で足りるのか

7か国語の話し言葉を比べた研究があります(Pellegrino ら 2011)。


1秒の音節数

1音節の情報量

1秒の情報量

音節の種類

日本語

7.84

0.49

0.74

416

英語

6.19

0.91

1.08

7,931

※情報量はベトナム語を1とした相対値

日本語は速く話します。でも、1音あたりの情報が英語の約半分です。

0.91 ÷ 0.49 = 約1.9倍。

同じ内容を伝えるのに、日本語はこれだけ多くの音が必要になります。

たとえるなら、英語は「1つの箱にたくさん詰められる」言語です。「strengths」のような重い音節を、1つの音符にまるごとのせられます。日本語は箱が小さいぶん、箱の数で勝負します。

ここからは僕の推測です[仮説]。英語の1小節(4〜7音節)と同じ内容を日本語で歌うと、7〜13モーラが要る計算になります。訳詞で内容を削らないといけない理由、日本語の曲が16分音符の詰め込みに向かった理由のひとつかもしれません。ただし、これは話し言葉のデータで、歌のデータでは確かめていません。

なお、1秒あたりの情報量は、この研究では日本語と英語で同じになりませんでした。17か国語に広げた別の研究(Coupé ら 2019)では、どの言語もおよそ39 bit/秒の近い値に収まっています。

実際に測った「歌う速さ」

対象

速さ

補足

「初音ミクの消失」

毎秒7.45字

ボカロのカラオケ配信曲82曲で最速

「裏表ラバーズ」

毎秒6.17字

同じ調査で2位

米津玄師「Lemon」

毎秒2.21字

曲全体の平均(前奏・間奏を含む)

Billboard Hot 100(5,100曲)

毎秒約0.6語

1990年以降のヒット曲はこれより速い

秒から小節への換算は、この式です。

1小節の音の数 = 1秒の音の数 × 240 ÷ BPM

たとえば「Lemon」(BPM 87)なら、2.21 × 240 ÷ 87 = 約6字/小節。間奏も含めた平均なので、歌っている小節はもっと密になります。

注意点もあります。

  • ボカロの調査は「文字」で数えていて、モーラ数とは一致しません(元記事は現在リンク切れ)

  • Billboardの調査は、繰り返しのサビが省略された歌詞を使っている可能性があります

作詞・作曲での使い方

調べた結果を、僕は自分の曲作りにこう当てはめています。

  • Verse:1小節に6〜10。早口にするなら12〜16

  • サビ:1小節に4〜8。伸ばしで言葉を届ける

  • 英語を混ぜる行:英語1音節に日本語2モーラ分の内容が入るので、音符を減らして「抜け」が作れる

僕の作詞ルール(1行12モーラまで、1行は約2小節)は、1小節あたり約6。標準的なJ-POPの中では、ゆとりのある設定でした。

おわりに

日本語の歌は「音の数」で、英語の歌は「1音の重さ」で内容を運んでいる。

数字にしてみると、詰め込みすぎ・少なすぎの判断が、感覚ではなく基準でできるようになりました。

AIに作詞を頼むときも、「1小節に何モーラ」と数字で伝えるだけで、歌いやすい歌詞が返ってきやすくなります。無駄な9割の試行錯誤を減らして、創造的な1割に時間を使うための、小さな物差しです。

次は、自分の曲のメロディから、実際に1小節あたりのモーラ数を集計してみるつもりです。

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▶ AIが最初に書いた歌詞は「ありきたり」だった。Claude Code→ACE Studio→SUNOで1曲作った話

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参考

※2026年10月時点で確認できた資料をもとにしています。曲のタイプ別の数値は推定で、曲によって大きく変わります。


 
 
 

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