【AEスクリプト無料配布】MV Opacity Controller v29N公開。面倒な「音ハメ点滅」をマーカーだけで自動化。
- Kimio 九奏

- 10月23日
- 読了時間: 4分
Sound Inspireより、After Effectsスクリプト「MV Opacity Controller」のメジャーアップデート版(v29N)のリリースをお知らせします。
BPM同期マーカーの自動生成機能を新たに搭載し、MV制作における「音ハメ」作業を劇的に効率化します。
MV制作の「苦行」を「創造」に変える
ミュージックビデオ(MV)制作において、音楽と映像の「同期」は、そのクオリティを左右する重要な要素です。 中でも、キックやスネアのタイミングで挿入される「フラッシュエフェクト(点滅)」は、視聴者の高揚感を一気に引き上げる強力な演出です。
しかし、多くのクリエイターが直面する現実があります。 After Effectsで、楽曲のBPMに合わせてレイヤーの不透明度を正確に、かつ大量にコントロールする作業。それは、しばしば「苦行」とも言える時間のかかるプロセスでした。
なぜ「BPM同期」はこれほど面倒だったのか
BPMと完全にシンクロした点滅は、視聴者に本能的な快感を与えます。 ですが、After Effectsの標準機能でこれを実現しようとすると、複数の壁にぶつかります。
楽曲のBPMを測定する (そもそも楽曲のBPMが分からない、というケースも多いでしょう。その場合は、MyEditのBPM測定ツールのような、オーディオファイルをアップロードするだけで解析してくれる無料サイトを活用するのが手っ取り早い方法です)
BPMから1拍のフレーム数を計算する
タイムラインを拡大し、1フレーム単位で不透明度のキーフレームを手打ちする
曲のBPMが途中で変わる? 構成が変更になった? ……最初からやり直しです。
この「キーフレーム打ち」という名のボトルネックが、クリエイターから最も価値ある「時間」と「集中力」を奪っていました。
新機能:「BPM同期マーカー」を自動生成
我々Sound Inspireは、この非効率なプロセスを根本から解決するために「MV Opacity Controller」を開発しました。
今回のメジャーアップデート版「v29N」は、UIを刷新し、決定的な新機能を搭載しています。
それが「BPM同期マーカー自動生成」機能です。
使い方は非常にシンプルです。
コンポジションを選択
スクリプトUI(タブUIに進化)で「BPM Marker」タブを開く
楽曲の「BPM」と、マーカーを打ちたい「拍(4分音符、8分音符など)」を入力
[BPMマーカー作成] ボタンを押す

これだけで、アクティブなコンポジションのタイムライン上に、指定したBPMと拍子でレイヤーマーカーが自動的に生成されます。
あとは、点滅させたいレイヤー(平面レイヤーや調整レイヤー)を選択し、「Main」タブで実行ボタンを押すだけ。
スクリプトがマーカーの位置を読み取り、瞬時に不透明度のキーフレームを自動生成します。もう、あなたが手作業でキーを打つ必要は一切ありません。


演出の幅を広げる「イーズ適用」モード
v29Nは、単なる自動化ツールではありません。 演出の幅を広げるための「思考の触媒」でもあります。
メイン制御タブにある「マーカー間にイーズを適用」チェックボックス一つで、点滅の質感を瞬時に切り替えることができます。
Use Ease OFF (ハードな点滅): チェックがOFFの場合、スクリプトはマーカーごとに不透明度のON(Max)とOFF(0)を交互に切り替えます。 キックやハイハットに合わせた、機械的でシャープな「パキッ、パキッ」という音ハメに最適です。

Use Ease ON (ソフトな点滅): チェックがONの場合、マーカーとマーカーの中間点を頂点として、自動的にイーズイン・イーズアウトを適用します。 これにより、「フワッ、フワッ」と呼吸するかのような、滑らかで有機的な明滅が可能になります。ストリングスやパッドの音に合わせる場合に絶大な効果を発揮します。
Aメロは「Use Ease ON」で滑らかに明滅させ、サビに入った瞬間「Use Ease OFF」のレイヤーに切り替えて激しく点滅させる──。 そんな、これまでなら膨大な時間がかかった複雑な演出が、チェック一つで試行錯誤できるようになったのです。

ツールは「作業」ではなく「創造」のために
クリエイターが向き合うべきは、キーフレームの入力作業ではありません。 「この楽曲のどの部分で、どんな感情を呼び起こしたいか」という、演出の核心そのものであるはずです。
このスクリプトが、あなたの「苦行」を「創造」に変える一助となることを願っています。
ダウンロード
「MV Opacity Controller v29N」は、以下のGitHubリポジトリから無料でダウンロードできます。 (基本的な使い方はREADMEに記載していますが、全機能を解説した有料ガイドも近日中に公開予定です)
▼無料ダウンロードはこちら(GitHub) https://github.com/sound-inspire/MV_Opacity_Controller-v29N



コメント