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【AI創造論】なぜAI作曲は「つまらなく」感じるのか? —— Suno AIの限界点と「構造」の支配術


はじめに:AI音楽が抱える「既視感」の正体

AI音楽生成の世界は、Suno v5.0の登場により音質・構成・歌唱のすべてが劇的な進化を遂げました。


しかし、多くのクリエイターが共通の違和感を抱いています。


「それっぽいけれど、印象に残らない」 「ちゃんとしているのに、つまらない」

これは単なる感覚の差ではありません。


AIの設計思想に根ざした「構造的な問題」です。


今回は、Future Bassを例に、AI作曲が陥る「無難さ」の正体と、それを突破するための戦略を実測データと共に紐解きます。


作成した楽曲👇



1. 「プロンプト」という魔法の限界

まず、残酷な事実からお伝えしなければなりません。 「プロンプトだけでは、コード進行は制御できない」 ということです。

文章でのコード指定や制限文の工夫だけでは、安定した制御は不可能です。


実際に、コード進行をプロンプトに明記して3回生成し、その遵守率(指定したコードが正確に鳴っていた割合)を解析した結果、以下のデータが得られました。


  • 1回目:約20%

  • 2回目:約18%

  • 3回目:約22%


つまり、約8割のコードはAI側の判断で勝手に改変されているのが実態です。


👇実際のプロンプト

[Style] Female Vocal, EDM / Future Bass, Key Free, 150 BPM Strictly follow the audio & the chords, Do NOT replace any minor chord with its parallel major, Keep all minor chords exactly as written, Avoid normalization, [Intro] Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm [Verse 1] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Pre-Chorus 1] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Build-up 1] Gm | Ebm | Fm | Bbm [Break 1] N, C, [Chorus] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Post-C] Fm | Bbm | Gm | Ebm [Verse 2] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Pre-Chorus 2] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Build-up 2] Gm | Ebm | Fm | Bbm [Break 2] N, C, [Chorus] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Bridge] Db | Eb | Db | Eb | Db | Eb | Db | Eb [Build-up 3] Gm | Ebm | Fm | Bbm [Chorus] Gm | Ebm | Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | Bbm [Outro] Fm | Bbm | Gm | Ebm | Fm | N, C, | Fm | N, C

👇Chodifyの分析結果の一部

👆Fmの曲だが Fがメジャー化してしまっている



2. なぜAIは「無難」を選択し続けるのか

Suno AIは、以下の3点に強く最適化されています。


  • 機能和声として破綻させない

  • セクション構成を整える

  • リスナーに不快感を与えない


これは「危険を一切冒さない」という設計であり、その結果、Future Bassのようなジャンルでは「安全な循環コード」や「予定調和な展開」が量産されることになります。


逸脱がない代わりに、驚きもない。これが「AIっぽさ」の正体です。


3. 「理解」ではなく「模倣」させる:支配のためのワークフロー

この限界を突破するために、Sound Inspireでは一つの確信に辿り着きました。


AIにコード進行を「理解」させるのではなく、「模倣」させるのです。


具体的には、指定したコード進行を正確にトレースした音源(MIDIやWAV)を用意し、それを 「Cover」 としてAIに読み込ませます。



この音源という「構造の骨組み」を先に与えることで、プロンプトは初めて補助的な機能として働き始めます。


結論:人間にしかできない「意味のある逸脱」

AIはランダムな破壊は得意ですが、「意味のある逸脱」は人間にしか作れません。

人間が先に強固な「構造」を決め、そこからあえて外れる瞬間を与える。


その時、AI音楽は初めて「人間的な振る舞い」を見せ始めます。


Sound Inspireは、AIを「自動生成ツール」としてではなく、人間の意志を投影するための「精緻な楽器」として支配することを目指しています。


👇note記事へのリンクはこちら 第1回 

 なぜSUNOの曲は「つまらなく」感じるのか―― Future Bassを例にしたAI作曲の限界点 https://note.com/soundinspire/n/nf2d57fa692f3 第2回 

 SUNO コードを書かない vs 書く── 遵守率20%問題から見える、SUNO v5.0の限界と可能性


第3回 

 AIを『作曲家』から『演奏者』へ。SUNOを手懐けるための『骨格』の作り方

 
 
 

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